ふだん気づかないけれど、ぼくたちの身の回りには特殊鋼がいっぱい
今から50億年前のビッグバンによって誕生した惑星の一つ、地球では重い鉄がどんどん下に沈み地殻をつくり、他の軽い物質とくっついた鉄は地表近くに残り、現在地球総重量の1/3をしめるといわれるほど、鉄は豊富な資源です。
鉄鉱石採掘現場
いん鉄
普段私たちが接している鉄のほとんどが、実は「鋼」です。鋼は、鉄鉱石からできた鉄から不純物を取り払い、適度な炭素(0.04%~2.1%)を加えたものです。私たちが”使う”ための適度な強さ・硬さ・しなやかさを備えた鉄が”鋼”なのです。
H型鋼
大規模工事現場
強度を高め、機械部品から、建築物、橋梁、船舶、車両など広く用いられる鋼。
C、Si、Mnを含有の「機械構造用炭素鋼」(自動車、航空機、産業機械など)とC、Mn、Cr、Mo、Ni、Ai含有の「構造用合金鋼」(建造物)に分けられます。
鉄に少なくとも10.5%以上のCrを含有した合金鋼。鉄の弱点である錆を防止する特性があり、耐食性・耐久性・意匠性・耐火性・低温特性・加工性などに優れています。食器、家具、建築、車両材などに使われます。
耐磨耗性、耐衝撃性に優れた、硬い鋼です。カンナやヤスリ、カミソリといった精度を要求しない工具から、ほかの金属を加工するために、精度、硬さとも要求される工具まで、その用途はとても幅広いものです。Cを多く含有する「炭素工具鋼」(カンナ、ヤスリ、カミソリなど)、W、Cr、Ni含有の「合金工具鋼」(金属やプラスチックの成形用金型)、W、Cr、V含有の「高速度工具鋼(金属切削用の刃物)などに分かれます。
名種ばねとして利用されます。Cの多い炭素鋼ばね、Si、Muの多いばね鋼とに大別されます。
ベアリングの、球、ころ、内輪、外輪に使用される合金鋼。高速で回転し、繰り返し使用に耐える必要性から耐久性と耐摩耗性に優れています。
高温下での耐酸化性、耐高温腐食性、高温強度に優れた特性を持つ合金鋼。Crのほか、Ni、Co、Wなどの元素を含みます。原子炉、タービン、エンジン、化学プラントなどに利用されます。
Pb、S、Caなどを添加した、快削性に優れ、加工が容易な鋼。ねじ、ボルト、ナットなどに利用されます。
一般にMn11%以上を主合金成分とする非磁性の合金鋼。硬度があるので、耐摩耗性部品に用いられます。また、非磁性の特性から電気部材にも用いられます。
高張力鋼を線材にしたもので、強度と粘り強さに優れています。鉄筋コンクリート用材や吊橋用材、釣針などに利用されます。
Cu、Ni、Crなどを添加して、引張りにも圧縮にも強い、変形しにくい特性を持ちます。少量の使用で強度が得られるため、自重を軽くしたい橋梁などに利用されます。