摩擦圧接とは、異種材料(ステンレスと軟鋼、ステンレスと銅など)、異形の材料(太さの異なる)を高速で擦り合わせ、そのとき生じる摩擦熱によって部材を軟化させると同時に圧力を加えて接合する技術です。
径ちがいの接合、異種金属の接合など適材を適所に使用しますので、材料の節約、機械加工時間の短縮など合理化が実現します。
【図1】従来品 SUS304丸棒からの削り出し
【図2】摩擦圧接による材料費のコストダウン
摩擦圧接で高強度の実現
機械的性質 | 素材を迅速に圧接しますので、熱の影響部が少なく、材料によっては、圧接したままで、あるいは簡単な熱処理を行うことにより母材と同様の機械的性質が得られます。 |
引っ張り強度 | 摩擦圧接されたままの圧接部の引張り強度は、母材よりも強くなり、圧接面では破断せず、母材の部分で破断します。 また、摩擦圧接後、焼きナラシした場合には、引張り強度、伸びともに母材とほぼ同じになり、試験片は中央部で破断します。 |
焼きナラシ材および摩擦圧接材の引張り試験結果 (S20C、S45C同種圧接材) (試験片:JIS4号)
試験片 | 降伏点 | 引張り強さ | 伸び | ||||
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番号 | 処理 | S20C | S45C | S20C | S45C | S20C | S45C |
No.1 | 焼きナラシ (摩擦圧接しない材料) |
32.4 | 44 | 48.7 | 70.2 | 39 | 29 |
No.2 | 焼きナラシ →摩擦圧接 |
31.8 | 41 | 48.5 | 71.2 | 40 | 28 |
No.3 | 焼きナラシ →摩擦圧接 →焼きナラシ |
32.1 | 43.8 | 48.8 | 70.7 | 39 | 29 |
金属を摩擦熱により塑性変形しやすくし表面原子同士を引力の強く作用する距離まで圧縮し、また高温にすることにより拡散をしやすくし両者の相乗効果により接合する。 (摩擦温度1300度にて回転を急停止させ、圧力をかけて接合させる)
代表的な材料の組合せ
丸棒接合断面 | φ7~φ75 (最大で材質S45Cの場合φ350*150とφ85*3000を圧接する時接合断面はφ85となり可能です。) (注) 材質により最大接合断面積は変わります。 |
パイプ | 最大φ154*12tこれ以下の径でも厚さにより断面積が丸棒換算でφ85以下でなければ不可。 |
長さ | 圧接後全長2000mmまで(回転側はφ75以下は長さ300mmまでφ80以上φ350は長さ150mmまで |
芯振れ | 黒皮丸棒は約1mm(ダイヤル読み)、LA加工品は製品の大きさにもよりますが約0.2~0.5mm |
経済的な摩擦圧接法
摩擦圧接法は他の溶接法に比べて溶接棒やハンダ付けなどは全く不要です。電気やガス代などについても、圧接用機械駆動用モータの電力のみで、ランニングコストの面で、ガス溶接の1/30、フラッシュバッド溶接の1/10、電気溶接の1/5程度になります。
摩擦圧接法を取り入れることにより素材形状や製造工程の簡略化、省力化、コストダウンなど、総合的なメリットを生み出しています。
左側チャックに材料1を掴む、 右側クランプへ材料2を掴む | ▶ |
左側チャックを回転させながら材料を押し付ける | ▶ |
材料を擦り合わせ接合に充分な発熱量を得る。 写真では停止しているように見えるが800から2000rpmで回転しています | ▶ |
最後に回転を停止させさらに強い圧力で押し付け完成 |